Schiebel社

最適化で高く飛ぶ

Altiarのソリューションを使った、シーベル社CAMCOPTER® S-100の設計最適化



背景

民間、軍事目的で使用されている無人航空機システム(UAS: Unmanned aerial systems)は、日進月歩のテクノロジーです。正確に操縦でき、たどり着けない場所や難しい地形の地図を作成できるため、海上パトロール、火災・排気ガスの監視、供給ラインの監視、空中からの監視など、様々な分野で利用されています。UASメーカーは、高度なシミュレーションと製造技術を駆使し、耐空性を確保した効率的な設計を行っています。

Schiebel Groupについて

オーストリアのウィーンに本社を置くSchiebel Groupは、防衛、人道支援の両分野で信頼性の高い成熟した製品を製造することで国際的な評価を得ているUASメーカーです。Schiebel社は、技術的に高度な製品の正確な設計と信頼性の高い性能を実現するために、金属3Dプリンティングや高度なシミュレーションソリューションなど、さまざまなハイエンド製造技術を用いてCAMCOPTERR S-100の開発・製造を行っています。

2020年からは、自社製の金属3Dプリンターを使用して、ランディングギアブラケットやS-100ローターエンジン用のチタン部品を製造しています。この部品は、最大限の耐久性と出力を備えながら、可能な限り軽量・小型化されています。3Dプリンティングの利点を最大限に活用するため、Schiebel社では、軽量化のためのトポロジー最適化、認証のための構造シミュレーション、熱交換器の設計と内部流れの最適化のための熱流体解析(CFD)マルチボディシミュレーション、さらにはAltairパートナーアライアンス(APA)の熱応力シミュレーションツールなど、Altairの持つソリューションを駆使しています。Schiebel社ではさらに、設計、最適化、プリント、EN9100認証による後処理などのサービスを顧客に提供しています。

課題

S-100は、ヨーロッパ全土で活躍する航空システムとして、さまざまなミッションに応じて多様なペイロードを搭載し、最大160kmの距離を8時間以上にわたって飛行しなければなりません。そのためには、信頼性が高く、堅牢な機体構造と燃料供給が必要です。また、機能的な要件に加えて、要求の厳しい顧客にクラス最高の機体を提供することも求められます。

Schiebel社は、S-100を可能な限り軽量化して、機体の到達範囲を広げたいと考えていました。Schiebel社は、性能の高さだけでなく、製品がいくつかの国の規制に準拠していることも確認しなければなりません。そのために、欧州連合航空安全局(EASA)と協力して、安全な運用、制御システムの信頼性、飛行許可などのガイドラインを含む軽量UASオペレーター証明書(LUC)を作成し、この耐空証明を取得できるよう努めました。

この耐空証明を取得するために、Schiebel社は各国の規定をほぼ満たした認証可能なシステムを実現するためのハードウェアとソフトウェアを探していました。このような厳しい開発目標を達成し、現在のS-100を未来につなげていくためには、複合領域の設計アプローチが必要でした。

ソリューション

完璧に調整されたアーキテクチャーと軽量設計を確保しつつ、同時に剛性と強度を高めるため、Schiebel社ではAltairのソリューションと3Dプリンティングを組み合わせて使用しました。エンジニアは、特に3Dプリンティングのエンジン部品の設計を最適化するために、あらゆるシミュレーションを行いました。Schiebel社では、Altairのトポロジー最適化構造設計ツールを用いて、高い剛性レベルを維持しながら大幅な軽量化を実現し、その結果、ロバストな設計を達成しました。続いて、Altair CFD™を用いた層流・乱流シミュレーションおよび共役熱伝達シミュレーションにより、システムの評価を行いました。さらに、Altair MotionViewとAltair MotionSolveを用いて、接触、非線形有限要素(NLFE)および複雑な動的システムのモデル化を行いました。

また、Schiebel社はAPAソリューションのAmphyonなどのツールを活用して、必要な精度を達成するために部品を事前に変形させるなど、3Dプリンティングプロセスのシミュレーションを行いました。熱応力のシミュレーションにもAmphyonを使用し、エンジニアが熱のホットスポットを特定したり、支持構造の強度をシミュレーションしたりしました。

結果

Altairのソリューションにより、Schiebel社では最適化されたバイオニックな構造と卓越した製品デザインを持つエンジン部品の開発・製造が可能となり、信頼性の高い軽量な航空機を顧客に提供できました。3Dプリンティングとシミュレーション主導の設計を組み合わせることで、部品の重量を最大50%削減すると同時に、剛性と強度も50%向上しました。このシミュレーション手法のもうひとつの大きなメリットは、製造コストの削減です。Amphyon社のシミュレーションでは、プリント中に発生する可能性のある問題を事前に特定するため、製造上の欠陥による追加のプリントジョブを回避することができます。
「Altairのソリューションは、当社のCAMCOPTERR S-100用にトポロジー的に最適化されたエンジン部品と、あらゆる要件を満たす効率的な設計の実現を支援してくれました。シミュレーションを使うことで、3Dプリンティングの可能性を最大限に活用し、製品化までの時間を短縮することができました。Altairの技術的な専門知識とサポートのおかげで、私たちは時間とコストの大幅な削減を実現し、顧客に卓越した費用対効果を提供することができました」

Schiebel社、Head of Additive Manufacturing、Dominik Kohl氏

Altairの複合領域アプローチにより、Schiebel社では最適化されたバイオニック構造を持つ構造部品の開発と製造が可能に

APAソリューションAmphyonにより、Schiebel社では3Dプリンティングプロセスのシミュレーションを行い、新しいブラケットで求められる精度を達成

Altair OptiStructによるトポロジー最適化と、詳細な応力解析により、Schiebel社は堅牢な設計を実現しながら大幅な軽量化を実現