Schneider Electric

複合領域システムの設計アプローチを用いた 小型ブレーカーの開発

住宅、ビル、データセンター、インフラ、生産現場のエネルギー管理とオートメーションの分野で、Schneider Electric社がデジタル革命を起こそうとしています。世界中に15万人の従業員を抱え、100か国以上でグローバルに事業を展開するSchneider Electric社は、電源管理システムとオートメーションシステムの誰もが認めるリーダー企業です。同社は、データにシームレスに接続して、収集・分析・判断までをリアルタイムに行う、IoT対応ソリューションも提供しています。Schneider Electric社の統合ソリューションは、同社の顧客がエネルギーシステムを適切に管理し、エネルギー効率向上と持続可能性を実現していくことに貢献しています。

長年にわたるAltairユーザーであるSchneider Electric社は、最初はAltair Flux™のみを使用していました。しかし今では、ActivateMotionSolveOptiStructなど、Altair HyperWorks™に含まれる複数のソフトウェアを駆使し、開発プロセスに連成シミュレーション技術を適用しています。彼らが感じているAltairとの関係は、通常のサプライヤー対納入先企業という関係を超えて、パートナーシップと言えるまで深まっています。Schneider Electric社のActuator部門でチームリーダーを務めるStephane Follic氏は次のように話しています。「我々の専門的な意見も熱心に聞いてくれて、迅速に対応してもらえます。Altairのツールを使うことで得られるのは、技術的価値だけではありません。我々はAltairとの協力関係から多大なビジネス価値も得ています。彼らのツールとサポートのおかげで、我々は製品品質を改善し、開発サイクルを加速し、製品性能に関するリスクも低減できるのです」

新たな市場機会獲得のため4ヶ月での製品化を目指す

最近、Schneider Electric社は、彼らがまだ進出していない地域で新型サーキットブレーカーのビジネスを展開できそうな機会に恵まれました。ただしそのためには、異なる電圧レベルや電圧タイプ(ACではなくDC)など、標準とは異なる動作条件の全く新しい仕様を満たす派生製品を開発する必要がありました。また、与えられた期間は非常に短く、わずか4か月で有望な製品を開発しなければなりませんでした。そこでSchneider Electric社は、開発プロセスを加速し期限に間に合わせるため、シミュレーション技術に頼ることにしたのです。


Altair HyperWorksでコストを抑えて複合領域設計アプローチを実現

このブレーカープロジェクトでは、電磁気、機構、制御系などの各要件を同時に考慮する必要があったので、Altairの広範なCAEツールを柔軟に組み合わせて利用できる仕組みが特に有効でした。このように複合領域の設計アプローチ(連成シミュレーションを介した、Flux、MotionSolve、Activateの併用)を用いることで、Schneider Electric社のエンジニアは、多数のバリエーションを評価して、各動作条件に最適な設計パラメータを特定することが可能になりました。

「Altairの包括的なライセンスシステムは、我々にとって実に有用です。他のベンダーの場合、今使っているのとは別のツールを評価したいときでも、試用ライセンスを取得する必要があります。例えば、我々の望む計算結果やワークフローが本当に適切かどうか判断したい場合です。そういうときでも、通常はそれらツールの使用料金を払う必要があるのです。Altairの非消耗型トークンに基づくライセンス方式であれば、様々な製品やワークフローをわずかな追加料金または追加料金なしで試せます」と、Schneider Electric社でCAE and 3D Simulation部門のマネージャーを務めるLeopoldo Martinez Garrido氏は話しています。

「Altairの製品間でモデルを連結することはとても簡単です。そのように連成させると重要な情報の欠落が解消されて、それ以外の方法では実施不可能なシステムのシミュレーションが可能になります」
Remy Orban, Mechatronic Engineer, Schneider Electric

1Dモデルと3Dモデルを組み合わせることにより、ブレーカーを完全な“システムオブシステムズ”として、現実に即したシミュレーションを実行できるようになります。Activateでは、制御系と電子装置の1Dモデルを作成できます。そして、それらの結果をFluxとMotionSolveの3Dモデルと組み合わせます。

リスクの早期発見

Altairによる技術支援とソートリーダーシップのもと、Schneider Electric社は複合領域のシミュレーションモデル一式を準備し、様々な設定を用いてシミュレーションを開始しました。その結果、この複合領域アプローチからいくつかの興味深い結果が明らかになります。シミュレーション結果と試験データの間に密接な相関性があったことは良いニュースですが、テストした3組の動作条件(異なる電圧と温度)のうち、2組しか満足のいく性能が示されない問題もありました。

シミュレーション結果から、3番目の動作条件では、想定される電圧と温度のもとで期待どおりの性能を発揮させるには、ブレーカーに新しいコイルが必要であると判明しました。こうした悪いニュースは実際には良いニュースといえます。開発プロセスの初期段階で、このような結果が得られたおかげで、予想される全ての動作条件に対し、うまく機能しない恐れのある製品を開発し続ける愚行からSchneider Electric社は救われたのです。それどころか、新たな開発方向に集中して取り組むことができ、結果として同社の製品基準や顧客満足度を高いレベルに維持することや、信頼性の高い製品を提供する会社であるという評判を守り続けることに役立ちました。

複合領域シミュレーションアプローチのメリット

Schneider Electric社は、ついに製品化までの期間が4か月という野心的目標を達成しました。今回のアプローチは、実際、彼らがこのプロジェクトをスケジュールどおりに進めることができる唯一の方法であったため、従来の方法を用いた場合と比較するのは困難です。Altairツールの使用をActivateとMotionSolveにまで拡張し、ますます複雑化するシミュレーションをFluxとともに実施できたことは、様々な形で彼らにメリットをもたらしました。1Dシミュレーション(制御系と電子装置の解析)と3Dシミュレーション(電磁界と機構の解析)を組み合わせたことで、彼らは想定される構成の全てを評価し、重大な問題を初期段階で洗い出すことができました。複合領域アプローチによって早い段階でリスク管理が可能となり、エンジニアが間違った設計方向に進んでしまうことも、適切に機能しない試作品を組み立ててしまうことも阻止できました。また、Schneider Electric社は、新しいソフトウェアツールの速やかな習得や、シミュレーションによってより良い製品をより速く開発するという目標の達成に向けて、自社のエンジニアを援助してくれたAltairのサポートグループに大変満足しています。

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Schneider Electric社のサーキットブレーカー

CADからMotionSolveに取り込まれた 3D機構プラントモデル

複合領域システムの設計アプローチ

シミュレーションから得られたブレーカー性能に関する知見

About Schneider Electric

世界中に15万人の従業員を抱え、100か国以上でグローバルに事業を展開するSchneider Electric社は、電源管理システムとオートメーションシステムの誰もが認めるリーダー企業です。